【映画批評】DUNE Part2

世界を構築する

映画を含めて創作の世界はすべて虚構であり、現実と異なる世界を構築していく。
史実に基づいた物語でもそうである。かならず人の作為や都合が割り込んでくる。
SF映画の異世界を構築していくのには、大きな世界であるほど、圧倒的な力が必要だ。
DUNEではその構築力に愕然とする。
SF的な艦船や兵器だけではなく、細部まで綿密に設計された建造物。
そして様々なSF作品に影響を与えたサンドワームの設定と存在感。
どれくらいの努力を払うと、このような世界を作り出せるのかを想像するだけで愉快だ。
映画の主人公はポール・アトレイデス役のティモシー・シャラメ。
繊細にして、剛毅。未知なる運命に翻弄される不安。そのアンバランスさを好演している。
ゼンデイヤ
ジョシュ・ブローリン
フローレンス・ピュー
オースティン・バトラー
今が旬なユニークな俳優たちが、その力をいかんなく発揮している。

ベネ・ゲゼリットという毒

劇中でもっとも興味を引いたのは、ベネ・ゲゼリットという組織だ。
世界を裏から牛耳る謎の組織といえばまったく薄っぺらな表現になってしまう。
表の政治で大きな勢力がしのぎを削る中、それとは全く違う価値判断で蠢く組織。
なので、当たり前の常識がまったく通用しない怖さ。
そしてその組織の一員であるポールの母、レディージェシカが物語に大きな影響を与えていく。
この人間関係はとても独特で、DUNEという物語に深みを加えている。
そう。ジェシカはポールと同等の主人公といって過言ではないであろう。
そのジェシカをレベッカ・ファーガソンが独特の雰囲気で演じる。
ベネ・ゲゼリットの首魁ガイウスをシャーロット・ランプリング。彼女も素晴らしい。
この二人のヨーロッパ出身の女優は作品世界に重厚な雰囲気を漂わせている。
このキャスティングが見事だ。


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